そこで本記事では、太陽光発電をなるべくわかりやすく解説し、陸上設置型と水上設置型の違い、導入におけるメリットや注意点などを詳しく紹介します。導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
太陽光発電の仕組みをわかりやすく解説
太陽光発電は、太陽の光エネルギーを直接電気に変換する再生可能エネルギーの一種です。ソーラーパネル(太陽光パネル)に含まれる半導体素材が太陽光を受け取ると、その内部で電子が動き出します。
この動きを電力として取り出すのが、太陽光発電の基本的な仕組みです。太陽光発電が注目される理由のひとつは、燃料費が不要でありながら二酸化炭素をほとんど排出しない点にあります。
近年では企業や自治体、個人宅まで幅広く普及しており、世界規模で導入量が伸びている発電方式です。また、水上に設置すれば土地を使わずに済む方法があります。このように、設置環境に応じた柔軟な選択ができる点も太陽光発電の魅力のひとつです。
陸上太陽光発電
陸上太陽光発電は地上や屋根、カーポートなどの陸地上にソーラーパネルを設置する方式です。最も一般的な形態であり、住宅用・産業用を問わず、世界的に多くの事例があります。
地上に設置する際は、架台という支柱や骨組みを用いてパネルを並べます。日射角度や影の影響などを考慮して配置することが重要です。屋根への設置の場合は、すでにある建物の上部を活用できるため、別途土地を用意する必要がありません。
水上太陽光発電
水上太陽光発電は、ため池やダム、調整池などの水面にフロート(浮体)を浮かべ、その上にパネルを設置する方式です。地上型との最大の違いは、設置場所が水面という点にあります。
水上に設置すると、パネル裏面の温度上昇が抑えられやすいといわれています。パネルは高温になると発電効率が低下しやすいため、水面からの冷却効果によって比較的効率を維持できる可能性があるのです。
また、地上では農地や森林を転用しなければならない場合がありますが、水上であれば未利用のため池などを活用できる利点があります。資源の有効利用という観点でも、水上太陽光には大きな魅力があるといえます。
太陽光発電システムを構成する機器
太陽光発電はパネルだけで成り立つわけではなく、発電した直流電力を取りまとめ、変換・送電し、運用を監視するための複数の機器が連動して成立するシステムです。
とくに、水上太陽光発電の場合は、水上架台フロートの品質と設計がシステム全体の安定稼働に深く関わります。
太陽光パネル
太陽光パネルは、光エネルギーを電気に変換する要となる部品です。シリコン系を中心に、単結晶・多結晶・薄膜など複数の種類があり、それぞれ効率や価格帯、外形寸法などが異なります。
水上太陽光の場合、パネルの裏側が冷却されやすいことで高温による効率低下が軽減されるといわれていますが、湿度や水気への対策も重要です。長期の使用に耐えられるかどうか、メーカーの保証内容や実績を確認すると安心です。
架台
架台は、太陽光パネルを物理的に支え、最適な角度と向きを維持するための装置です。地上型なら地面に基礎を打ち込み、強風や積雪に耐えられる設計を行います。屋根上に設置する場合は、屋根の勾配や素材に合わせた施工方法でパネルを固定します。
また、水上太陽光発電では、架台の役割を担うのがフロートです。フロートがパネルを浮かべるベースとなり、風や波の影響を受けながらも一定の姿勢を保つ必要があります。
接続箱
接続箱(集電箱)は、複数の太陽光パネルから送られる直流電流を合流させ、パワーコンディショナーへ届ける役割を担います。過電流や漏電が発生した場合の保護機能も持ち、火災リスクを軽減する重要な機器です。
太陽光発電設備では、大規模なシステムになると多数のパネルが使われます。そのため、接続箱を使って整理された配線と安全な送電ルートを確保することが必須です。
パワーコンディショナー
パワーコンディショナー(パワコン)は、直流を交流に変換する装置で太陽光発電システムの要といえます。直流しか扱えない家電製品はほとんどないため、パワコンがないと日常的な電力利用は難しいでしょう。
水上太陽光の場合、水上で発電される電力も陸上へ引き込み、地上と同じようにパワコンで交流に変換します。ケーブル配線の長さや防水性能にも注意が必要なため、専門的な設計と施工が不可欠です。
パワコン自体の変換効率や製品寿命も、事業の採算性に大きく影響します。故障時の対応や保証内容も含めて、信頼できるメーカーや設置業者を選ぶことが大切です。
水上太陽光のパイオニアであるシエル・テールでは、長年培った技術的知識を元にアンカー設計から施工、O&Mまでワンストップでのソリューションをご提供します。ぜひお気軽にお問合せください。
分電盤
パワコンで交流になった電力は、建物内や工場内の分電盤を介して各機器へ送られます。分電盤にはブレーカーや保護装置が組み込まれており、過負荷や漏電時に回路を遮断して設備を守ります。
売電を行う場合は買電用メーターと売電用メーターを設置し、余剰電力や全量を正しく計測します。事業規模が大きいほど回路の数や負荷が増えるため、分電盤の容量に余裕を持たせた設計が欠かせません。
電力量計
電力量計はどれだけの電力を発電し、どれだけを使用し、売電したかを把握するうえで必要な機器です。家庭用の場合は、買電用と売電用のメーターを分けて設置するケースが一般的です。
大規模事業の場合は、さらに詳細な計測機能を持つ監視システムを導入することもあります。こうした計測データをもとに、事業計画や投資回収シミュレーションを適宜見直しましょう。
モニター
モニターや監視システムは、太陽光発電の稼働状況を可視化する役割を果たします。発電量や売電量、消費量などを一目で確認でき、異常があれば素早く通知が届く仕組みを整えることが可能です。
水上太陽光発電では、フロートやパネルにトラブルが起きたとき、現地確認がやや難しい場合があるため、リモートモニタリングによる早期対応が重要です。適切な監視体制を整えれば、メンテナンス時期を正確に把握し、ダウンタイムを最小限に抑えられます。
太陽光発電の発電量
太陽光発電の発電量は、システム容量(kW)や地域の日射条件、パネルの性能など多くの要因によって変動します。一般的には1kWあたり年間約1,000kWh 前後といわれますが、積雪や梅雨、地形的な日影などで実測値は前後することが多いでしょう。
導入前に専門家の診断を受け、年間発電量の目安を把握すると安心です。
年間の発電量
年間発電量は、春から秋にかけて日射量が確保しやすい時期にピークを迎える傾向があります。具体的には、夏場の好天が続く月であれば1kWあたり1か月100kWh~120kWh程度 を発電する例も少なくありません。
一方、冬場や梅雨シーズンや日射時間が限られる地域では、同じ1kWでも月に50kWh程度しか発電できないことがあります。水上太陽光発電の場合、夏場の高温環境でもパネル裏面が冷却されることで、地上型より効率低下を抑えられる可能性があります。
ただし、水面環境特有のメンテナンスや安全対策が不十分だと、波やフロートの劣化が原因で思わぬ発電ロスを招くおそれがあるため注意が必要です。
シエル・テールは、業界で最も長い歴史を持つ水上太陽光のエキスパートです。お客様の水上太陽光発電所を健全に維持するための保守点検を担い、実績にもとづいた信頼性の高いサービスを提供しています。
1日の発電量
1日の発電量は、朝日が昇り始めると少しずつ上がり、日中の正午前後にピークを迎えて、夕方以降は急激に落ち込みます。たとえば、1kWのシステムであれば、晴天の日中に4kWh近く発電できる日もありますが、連日の曇りや雨天が続けば大幅に伸び悩むでしょう。
夜間に発電できない点は太陽光発電の弱みですが、近年は蓄電池やほかの電源を組み合わせるハイブリッドシステムが普及しつつあります。企業などでは、昼間の電力需要が大きいほど太陽光発電の自家消費メリットが高まります。さらに、余剰分を売電することでコスト削減と収益の両立を図ることも可能です。
太陽光発電のメリット
太陽光発電は環境に優しいだけでなく、経済的メリットや事業リスクの低減など、多彩な利点を備えています。とくに、長期的な視点で安定収益を狙える点や、電気料金の高騰を回避しやすい点は、多くの企業にとって魅力的です。
水上太陽光を含めて導入することで、新たに利用価値が低いと考えられていた水面が収益源に変わる場合もあります。
電気料金を削減できる
自家消費型太陽光発電を導入し、日中に発電した電力を自社内や施設内で使うことで、電力会社からの買電量を抑えられます。とくに昼間の使用量が多いビジネスの場合、電気代が大幅に削減できることもあるでしょう。
従来はピークタイムに高額な料金が発生する契約形態が主流でしたが、太陽光の自家消費を組み合わせることで負担を軽減できます。また、温室効果ガス削減やCSR(企業の社会的責任)を意識する企業にとっても魅力的な選択肢です。
導入後、思ったほど電気代が削減できないなどのトラブルを避けるために、事前にシミュレーションを行い検討しましょう。
売電収入を得られる
国の固定価格買取制度(FIT)や市場連動型のFIPなどを活用すれば、余剰電力や全量を売電することが可能です。メガソーラー事業では、この売電収入が大きな柱となり、安定的なキャッシュフローを生むビジネスモデルを構築している事例もあります。
近年は制度変更により、売電価格は過去のピークと比べると下がっています。それでも、設置コストの低下や水上太陽光の効率アップにより、十分な収益を見込める可能性があります。事前のシミュレーションが重要なポイントです。
電気料金高騰の影響を受けにくくなる
化石燃料の価格は世界的な情勢に左右されやすく、原油高や資源の供給不安によって電気料金が上昇するリスクがあります。太陽光発電を所有していれば、燃料費の影響を受けずに一定の電力を確保できるため、電気料金高騰のリスクを相対的に回避しやすくなります。
事業収益が電気代に圧迫されがちな企業にとって、エネルギーコストの予見性が高いことは経営面で大きな利点です。そのため、外部要因によって電気料金が高騰しても影響を受けにくくなる可能性があるでしょう。
非常用の電源として利用できる
太陽光発電に蓄電池を組み合わせると、停電時にも電気を使える可能性が高まります。災害の多い地域や停電リスクに備えたい事業者は、BCP(事業継続計画)の一環として導入を検討する価値があります。
そのため、通常時は売電や自家消費でコスト削減を図り、万が一の非常時には最低限の電力を確保できるシステムとして機能する点が魅力です。導入規模によっては従業員や地域の防災体制にも貢献できるでしょう。
企業のイメージ向上につながる
脱炭素やSDGs(持続可能な開発目標)の達成が世界的な課題となるなか、再生可能エネルギーの導入は企業価値を高める材料となります。太陽光発電を自社工場や施設で稼働させている様子をアピールすれば、環境意識の高い企業としてステークホルダーからの評価を得やすくなるでしょう。
さらに、水上太陽光を導入しているケースはまだ珍しく、話題性や先進的なイメージを獲得するうえでも有効です。自治体や地域社会との協働をアピールできれば、地域貢献の面でも評価を高められる可能性があります。
太陽光発電の設置場所
太陽光発電の設置場所は多種多様で、屋根や外壁、カーポート、倉庫、農地、水上(ため池など)といった選択肢があります。それぞれに特有のメリットやデメリットがあるため、事業目的や環境条件に合わせて最適な場所を選ぶことが重要です。
以下では、代表的な設置場所について順に解説します。自社の保有資産や地理的条件に照らし合わせながら、どのような形態が望ましいか検討してみてください。
屋根
住宅や工場、商業施設の屋根上に設置する方法は、追加の土地を確保する必要がありません。日当たりのよい屋根であれば、一定の発電量を期待できます。
ただし、屋根の傾斜角度や方位、老朽化状態などを考慮しなければならず、場合によっては補強工事が必要です。メンテナンス時には高所作業となるため、安全対策や保守費用も含めた計画が求められます。
工場や倉庫など広い屋根を持つ施設なら、大規模なシステムを設置して売電や自家消費に活用できます。日常から点検しやすい動線を確保すると、トラブル対応も迅速に行えるでしょう。
外壁
外壁にソーラーパネルを取り付ける手法は、屋根上にスペースがない場合の代替策となります。壁面ソーラーとして知られ、商業施設の壁やビルのファサードに採用されることもあります。しかし、屋根と比べると日射角度が垂直に近くなるため、発電効率が下がる可能性があります。
また、外観デザインとの調和や施工の難易度が高い場合もあり、コストが嵩むこともあるでしょう。それでも、建物全体をエコ建築としてアピールしたい場合や、独自のデザイン性を追求したい際には、有力な選択肢となり得ます。
カーポート
駐車場の屋根代わりにソーラーパネルを設置する手法がカーポート型太陽光発電です。限られたスペースを多目的に活用できるため、集合住宅などでも導入が増加しています。車の直射日光を防ぐ効果があります。
ただし、カーポートの強度が不十分だと、強風や積雪で損傷するリスクがあります。設計段階で地域の気候を考慮し、十分な耐荷重を確保しましょう。
Photo by Kindel Media
倉庫
倉庫の屋根は広大な面積を持つため、大規模な太陽光発電システムを設置しやすい環境です。物流や在庫保管を行う企業にとって、倉庫は高い天井や丈夫な構造を備えていることが多く、太陽光に適したケースがあります。
倉庫全体の電力需要をカバーしたり、余剰分を売電したりすることで、ランニングコストの削減と収益確保を同時に狙えます。屋根材が老朽化していないかを確認し、必要に応じて修繕したうえで導入すると安心です。
農地
農地に支柱を立て、パネルもとで作物を育てるソーラーシェアリングが広がっています。農業と発電を両立できるため、農家にとっては新たな収益源となる可能性があります。農地法や条例の制約があるため、導入までのハードルは高い面もあるでしょう。
しかし、一次産業の活性化と再生可能エネルギーの普及を同時に進められる点が注目を集めています。パネルが作物に与える日陰の影響や、農業用機械の操作性などを考慮しながら計画を練る必要があります。
ため池
ため池や調整池の水面にフロートを浮かべる水上太陽光発電は、近年とくに注目を集める設置形態です。遊休地が少ないエリアでも、大規模なメガソーラーを構築できる可能性があります。
水上設置は熱による発電効率低下を抑えやすいとされ、夏場のパネル温度上昇リスクが軽減される利点があります。その結果、陸上型よりもやや高い年間発電量を得られるケースがあると報告されています。
一方で、水上架台フロートやアンカー設計・品質、波浪や風圧への対策など、水上特有の設計・施工ノウハウが必要です。シエル・テール・ジャパンでは、水上太陽光発電の専門的なサポートをします。お客様のニーズに合った提案ができます。
設置するなら水上太陽光発電がおすすめ
水上太陽光発電は、ため池やダム、調整池など既存の水面を有効活用できる発電方式です。陸上の土地利用制限が厳しい場合でも、大規模なパネル設置を実現しやすい点が大きなメリットといえます。
また、パネルが水面上で冷やされる効果により、夏場の高温による効率低下を軽減しやすいと考えられています。その結果、年間を通じて発電量の安定が期待できるでしょう。
株式会社シエル・テール・ジャパンでは、水上架台フロートやアンカー設計、EPC、オペレーション&マネージメント(O&M)といった多岐にわたるサービスを提供しています。
専門的な知識が必要とされる水上太陽光でも、導入から稼働後の管理まで一貫したサポートを受けられるため、安心して事業を進めやすくなります。
ダムやため池が活用されておらず、遊休資産と化している場合は、水上太陽光に転用することで大きな付加価値を生む可能性があります。メガソーラーの運営を検討している方は、ぜひ一度検討してみてください。
まとめ
太陽光発電はクリーンエネルギーとしてだけでなく、電気料金の削減や売電収入の獲得など、経済的メリットをもたらす魅力的な選択肢です。陸上型と水上型にはそれぞれ異なる特徴があり、設置場所や事業規模、投資意欲に合わせて最適な形態を選ぶことが重要となります。
なかでも水上太陽光発電は、ため池などの遊休地を有効活用しやすく、夏場の発電効率低下を抑えられる利点があります。シエル・テール・ジャパンでは、水上架台フロートやアンカー設計、EPC、オペレーション&マネージメント(O&M)など包括的なサービスを提供しています。
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