太陽電池モジュールは、太陽光パネルと同義であり、1枚あたり100〜700Wを出力します。セルからアレイまでの構成単位、5つの性能指標、4種類の違い、水上設置による発電効率の5〜10%向上を解説します
脱炭素社会の実現に向けて、太陽光発電の導入が加速しています。ゼネコンの営業担当者として提案を行う際「太陽電池モジュール」「ソーラーパネル」「太陽光パネル」といった用語の違いや、性能指標の理解に不安を感じることがあるかもしれません。
本記事では、太陽電池モジュールの基本知識、種類、性能指標を体系的に解説します。顧客への提案時に自信を持って説明できる知識を身につけ、脱炭素やZEB対応などの付加価値を組み込んだ競争力の高い提案を実現しましょう。
太陽電池モジュールとは|要は太陽光パネルのこと
太陽電池モジュールは、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する装置で、一般的に「太陽光パネル」や「ソーラーパネル」と呼ばれるものと同義です。
モジュールは、最小単位であるセルを数十枚組み合わせ、強化ガラスやアルミフレームで保護してパッケージ化したものです。屋外での長期使用に耐える設計で、1枚あたり100〜700Wの電力を出力します。
太陽電池の構成単位
太陽電池システムは、小さな単位から大きな単位へと階層的に構成されています。この階層構造を理解することで、システム全体の設計や性能評価が正確に行えます。
太陽電池の構成単位は、順に「セル」「モジュール」「ストリング」「アレイ」の4つです。それぞれの役割と特徴を見ていきましょう。
セル
セルは太陽電池の最小単位で、サイズは10~15cm角程度です。1枚の出力電圧は約0.5〜0.7V、出力は約0.5Wと小さいため、実用的な電力を得るには複数枚を組み合わせる必要があります。
モジュール
モジュールは、セルを数十枚直列接続し、強化ガラスとアルミフレームで保護したものです。これが「太陽光パネル」と呼ばれるもので、1枚で100〜700Wの出力を得られます。
ストリング
ストリングは、複数枚のモジュールを直列に接続し、電圧を高めるために組み合わせます。ストリング内のモジュールで発電効率が低下すると、その影響が全体に及ぶため、管理が重要です。
アレイ
アレイは、複数枚のストリングを並列に接続したもので、太陽電池システム全体を指す最大の単位です。アレイの容量はキロワット(kW)で表され、数値が大きいほど発電能力が高くなります。たとえば、200Wのモジュール20枚を組み合わせると、アレイの容量は4kWになります。
太陽電池モジュールによる発電の仕組み
太陽電池は、光エネルギーを直接電気エネルギーに変換します。p型半導体とn型半導体を重ね合わせた構造に太陽光が当たると、電子と正孔が発生します。電子はn型半導体側へ、正孔はp型半導体側へ引き寄せられ、この電荷の移動により電流が流れます。
発生した電気は直流ですが、家庭や工場で使用する電気は交流です。そのため、パワーコンディショナーを通じて直流を交流に変換します。
太陽電池モジュールの性能を示す5つの指標
太陽電池モジュールの性能を正確に評価し、適切な製品を選定するためには、主要な性能指標を理解することが重要です。ここでは、太陽電池モジュールの性能を示す5つの重要な指標について解説します。
これらの指標を理解することで、顧客への提案時にモジュールの性能を正確に比較・説明でき、システム全体の発電量やコストパフォーマンスを予測する際にも役立ちます。
変換効率
変換効率は、太陽光エネルギーが電気エネルギーに変換される割合を示します。効率が高いほど、同じ面積から多くの電気を作り出せます。
モジュール変換効率は、次の計算式で求められます。
モジュール変換効率(%)=モジュール公称最大出力(W)÷(モジュール面積(㎡)×1,000W/㎡)×100
現在市販されているシリコン系モジュールの変換効率は、一般的に15〜22%程度です。
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発電効率
発電効率は、実際の運用環境における電気変換の割合を示します。気温、日射角度、汚れ、影の影響、パワーコンディショナーの変換ロスなどの外部要因により、変換効率よりも低くなります。
発電量
発電量は、一定期間に生成する電力の総量を示し、単位はキロワットアワー(kWh)です。年間発電量は、次の計算式で求められます。
年間発電量(kWh)=1日あたりの平均日射量 × システムの容量(kW) × 損失係数 × 365日
日本全国の平均では、システム容量1kWあたり年間約1,000〜1,200kWhの発電量が得られます。
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公称最大出力
公称最大出力は、モジュール1枚あたりの発電能力の上限を示す値で、セル温度25℃、日射強度1,000W/㎡という標準条件下で測定されます。現在市販されているモジュールは、住宅用では、1枚あたりおおむね250〜470W(主流は300〜450W前後)、産業用・大規模向けでは500〜700W級に加え、700W超の製品もあります
発電コスト
発電コストは、太陽光発電で電気を作る際にかかる費用を示し、次の計算式で求められます。ここでは簡易的に、初期費用÷生涯発電量で試算します。
発電コスト(円/kWh)=設置費用総額(円)÷発電量(kWh)
経済産業省の調査によると、2021年度に設置された(主に10kW以上の)太陽光発電の想定システム平均費用は、1kWあたり約25.0万円とされています。
15年間で1kWあたり16,500kWhを発電すると仮定した場合、発電コストは約15円/kWhとなります。近年、製造コストの低減などにより発電コストは下がってきた一方で、資材価格などの影響で変動することもあります。
発電コストをさらに抑えるには、初期費用の削減と発電効率の向上が重要です。
シエル・テール・ジャパンが提供する水上太陽光発電は、土地造成工事が不要で初期費用を抑えられるケースがあり、冷却効果によって発電量が高まることも期待できます。条件が合えば長期的な収益性向上に寄与します。
【重要】実際の性能はさまざまな要因に左右される
太陽電池モジュールの実際の発電量は、カタログ値を下回ることが一般的です。
気温の影響はとくに重要です。太陽電池の性能は25℃[7.1]で測定されますが、夏場はパネル表面温度が60℃以上に達することもあります。温度が25℃を超えると、1℃上昇するごとに発電効率が約0.4〜0.5%低下します。
※周囲気温ではなく、太陽電池セルの温度上昇が出力低下の要因となります。
影の影響も大きいです。モジュールの一部に影がかかると、ストリング全体の発電量が低下します。また、パネル表面の汚れ、経年劣化、パワーコンディショナーの変換ロスなども発電量の低下を引き起こす要因です。
従来の課題をクリア!水上太陽光発電の可能性
地上設置型太陽光発電の課題に対し、革新的な解決策として注目されているのが水上太陽光発電です。
【水上太陽光発電のメリット】
● 発電効率を維持しやすい
● 土地造成が不要
● 設置場所が多い
● 障害物の影響を受けにくい
最大のメリットは、発電効率の維持です。水上は陸上より気温が低く、水による自然冷却効果が働きます。この冷却効果により、パネルの表面温度を25℃前後に保ちやすく、夏場でも発電効率の低下を最小限に抑えられます。
実際の測定では、水上設置の方が年間発電量で約5〜10%高い傾向があります。とくに夏場の高温期において、地上設置では効率が大きく低下する時期でも、水上設置は安定した発電性能を維持します。この発電効率の維持は、長期的な収益性向上に直結する重要な要素です。
土地造成が不要であることも大きな経済的メリットです。地上設置では、森林伐採や整地、地盤改良が必要となり、工事費用が初期投資を押し上げますが、水上設置ではこれらの工事が不要です。これにより、工事期間が短縮され、早期の売電開始が可能となります。
設置場所の多さも重要なポイントです。日本全国には、農業用ため池や調整池、ダム湖など、活用可能な水面が数多く存在します。とくに農業用ため池は全国に約16万か所あり、[9.1]その多くは有効活用されていません。
これらの水面を利用することで、新たに土地を確保する必要がなく、農業用水や防災機能を維持しながら売電収入を施設の維持管理費用に充当できます。地域社会への貢献と経済的メリットを両立できる点は、企業の社会的責任を果たす上でも大きな意義があります。
障害物が少なく、周囲の建物や樹木による影の影響を受けにくい点も見逃せません。水上は平坦で開けており、安定した日射を確保できるため、影による発電量低下のリスクが少なく、年間を通じて計画的な発電が可能です。
シエル・テール・ジャパンは、日本で唯一、大型パネルに対応した水上架台フロートを独自開発しています。水面の波や水位変動に対応できる柔軟な設計、強風や台風にも耐えられる強固なアンカー設計など、長年の経験に基づく高度なエンジニアリング技術を備えています。
さらに、水上架台フロートメーカーならではの知見を活かしたEPC施工から運用保守(O&M)まで、一貫したサポート体制を提供しています。プロジェクトの計画段階から運用開始後のメンテナンスまで、水上太陽光発電の専門家として確実なプロジェクト遂行をお約束します。
影の影響も大きいです。モジュールの一部に影がかかると、ストリング全体の発電量が低下します。また、パネル表面の汚れ、経年劣化、パワーコンディショナーの変換ロスなども発電量の低下を引き起こす要因です。
こちらの記事では、水上太陽光発電について解説しています。
設置する際のポイントやメリット・デメリットも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
太陽電池モジュールの主な種類
太陽電池モジュールは、使用する材料や構造によってさまざまな種類があります。それぞれに特徴があり、用途や設置環境に応じた最適な選択が求められます。
主な分類は「結晶シリコン系」「薄膜系」「化合物系」「有機系」の4つです。現在、市場の大部分を占めているのは結晶シリコン系です。
結晶シリコン系
結晶シリコン系は、現在最も広く使用されている太陽電池の種類です。長期使用の実績が豊富で、信頼性が高いため、住宅用から産業用まで幅広く採用されています。
シリコンの結晶構造によって、単結晶シリコンと多結晶シリコンに大別されます。
単結晶シリコン
単結晶シリコンは、高純度のシリコンを使用し、規則正しい結晶構造を持ちます。変換効率は約15~19%で最も高く、限られたスペースで多くの電力を生成できます。
デメリットとして、結晶シリコン系太陽電池は製造にコストがかかりやすく、また高温になると発電効率が低下する傾向があります。とくに夏場はパネル温度が上昇しやすいため、実際の発電量はカタログ値より低くなる場合があります。
多結晶シリコン
多結晶シリコンは、複数の結晶が集まった構造を持ちます。変換効率(モジュール効率)は約13〜15%程度と単結晶シリコンに比べて低めですが、製造コストが安く、コストパフォーマンスの面では優れています。
そのため、以前は大規模産業用に多く採用されていましたが、近年は単結晶シリコンが主流となり、多結晶の新規採用は減少傾向です。
薄膜系
薄膜系太陽電池は、非常に薄いシリコン膜を使用し、軽量で柔軟性があります。大量生産がしやすいという特徴がありますが、変換効率は約7〜10%と低めです。
アモルファスシリコン
アモルファスシリコンは、非晶質シリコン[14.1]を使用した薄膜系太陽電池です。結晶構造を持たないため、製造コストが安く、電卓や時計などの小型機器に広く使われています。
変換効率は約6~7%と低めで、屋外用として長時間照射を受けると効率が低下する光劣化が起こりやすい点がデメリットです。
HIT(ヘテロ接合)
HIT太陽電池は、単結晶シリコンとアモルファスシリコンを組み合わせたハイブリッド型です。
両者の長所を活かした構造により、変換効率は約20〜23%と高く、高温環境下でも発電量の低下が少ないという優れた特性を持ちます。温度係数が小さいため、夏場でも安定した発電が可能です。ただし、製造工程が複雑でコストが高い点がデメリットです。
※「HIT」はパナソニック株式会社の登録商標です。
化合物系
化合物系太陽電池は、シリコン以外の複数の元素を組み合わせた化合物を使用します。薄膜構造でありながら、高い光吸収係数を持つのが特徴です。III-V族多接合型は宇宙用として超高効率を実現しており、CIS/CIGSやCdTeなどが実用化されています。
CIS / CIGS
CIS(銅・インジウム・セレン)およびCIGS(銅・インジウム・ガリウム・セレン)は、これらの元素を組み合わせた化合物を使用した太陽電池です。変換効率は約11~12%で、薄膜構造ながら光吸収係数が非常に高いため、少ない材料で高い発電性能を実現します。
軽量で柔軟性があり、建材一体型太陽電池としての利用も期待されています。省資源で量産性に優れ、製造時のエネルギー消費が少ないため、環境面でもメリットがあります。
CdTe
CdTe(カドミウム・テルル)太陽電池は、カドミウムとテルルの化合物を使用します。製造コストが非常に安価で、変換効率は約11~12%程度です。欧米では大規模発電所での採用実績があります。
ただし、カドミウムが有害物質として規制されている日本では、環境への配慮から普及が限定的です。製造過程や廃棄処理において適切な管理が求められ、導入には慎重な検討が必要です。
有機系
有機系太陽電池は、有機物を使用した太陽電池です。製造コストの大幅な低減が期待されており、色素増感太陽電池やペロブスカイト太陽電池などがあります。
とくにペロブスカイト太陽電池は、次世代型として最も注目されています。低温で塗布製造が可能で、軽量・薄型・柔軟性に優れているため、シリコン系が設置困難なビルの壁面や耐荷重の低い屋根などでの活用が期待されています。
研究レベルでは変換効率が20%に迫る成果も報告され、シリコン系に匹敵する性能の実現に向けた開発が進んでいます。ただし、現時点では寿命が5〜10年程度と短く、耐久性の向上が実用化に向けた最大の課題です。
まとめ
太陽電池モジュールは、セルを組み合わせたもので、一般的に「太陽光パネル」と呼ばれます。モジュールはセル、ストリング、アレイといった階層構造で構成され、それぞれが重要な役割を担います。
太陽電池の性能を評価するには、変換効率、発電効率、公称最大出力、発電量、発電コストの5つの指標を理解することが重要です。変換効率は理想的な条件下での性能を示し、発電効率は実際の運用環境での性能を反映します。
太陽電池の種類は、結晶シリコン系、薄膜系、化合物系、有機系の4つで、それぞれに特性があります。単結晶シリコンは高効率で、限られたスペースに適しています。多結晶シリコンはコストパフォーマンスに優れ、大規模プロジェクトに向いています。
実際の発電性能は、気温や影、汚れなどの外部要因に左右されます。とくに高温による効率低下は問題で、パネル表面温度が25℃を超えると、1℃上昇ごとに約0.4〜0.5%発電効率が低下します。そんな地上設置の課題を解決するのが、水上太陽光発電です。
水上太陽光発電であれば、水による冷却効果で発電効率を高く保つことができるだけでなく、土地造成も不要です。ため池や調整池などを有効活用しながらも安定した発電量が期待できる、有力な選択肢といえるでしょう。
シエル・テール・ジャパンは、水上太陽光発電のパイオニアとして14年以上の実績を誇り、日本を含めた世界各地の水上太陽光発電プロジェクトに関わってきました。これまで培ったノウハウによるサポートと、独自開発した大型パネル対応の水上架台フロートを提供しています。
また、発電所の計画から、施工(EPC)、運転後の点検・保守(O&M)まで、まとめてサポートできる体制が特長です。
顧客の課題解決と持続可能な社会の実現に貢献する提案で、信頼関係を築き、受注率を向上させることができます。
具体的な相談やお見積もりは、シエル・テール・ジャパンまでお問い合わせください。
シエル・テール・ジャパンでは、お客様のご要望に応じて、柔軟性かつ透明性の高いお見積もり内容を心がけております。
ぜひ水上太陽光発電のお見積もりのご依頼をお待ちしております。
BY MIKU, SALES & MARKETING, CIEL TERRE JAPAN






